2017年7月3日月曜日

環境保護と健康長寿: ブラジルウッドあるいは蘇枋 (スオウ) 由来の赤紫の色素 「ブラジリン」 も線虫の寿命を延ばす!

韓国の研究グループによる最近の研究によれば、「ブラジリン」 と呼ばれる赤紫の色素が、線虫の寿命を延ばすことがわかった (1)。 プロポリス同様、熱ショック蛋白 「HSP16」 を誘導することから、「PAK遮断剤」である可能性が高い。 プロポリス中のCAPE と同様、癌細胞の増殖を抑える (IC50=10 micro M)。

この色素は、ブラジル原産の「ブラジルウッド」あるいは蘇枋 (スオウ) と呼ばれる大木から得られる色素で、酸性溶液では黄色だが、アルカリ溶液では赤紫である、花の色は黄色だから、花弁自身は酸性なのだろう。「ブラジル」という国名は元来、この植物に由来する。ブラジルの国旗の 「黄色」も 、この花の色が由来。

古代から漢方の一種としても、使用されてきた。 最近の研究によると、抗癌作用や抗炎症作用もあることがわかっている。 不幸にして、様々な目的のために、「ブラジルウッド」 は乱伐され過ぎて、今や保護しなければ、「絶滅」の運命にさらされている。 色素/染料として使用されるばかりではなく、バイオリンやチェロなどの弦楽器を弾く弓にも使用されている。

幸いにして、色素 「ブラジリン」 自身はごく最近、韓国 (Yonsei 大学) のグループにより、"収率良く" 化学合成が可能になった (2)。 その合成の中間体で、ブラジリンの3つの水酸基が メチル化された 化合物があるが、私自身の考えによれば、ブラジリンよりも細胞透過性が高そうである。 そこで、この中間体や誘導体などを韓国のグループ (Prof. Ikyon Kim) から、入手して、その抗癌作用やPAK遮断作用を比較してみたい。 更に、(臨床への応用をめざして) 細胞透過性と水溶性を飛躍的に増強するために、(「クリック=ケミストリー」 とは違う別の) 特殊な化学修飾 (韓流) を目下考えている。  このプロジェクトは 「環境にやさしい (環境保護) 」 研究の一環 として、ぜひ推進していきたい。

参考文献: 

1. Lee EB1, Xing MM1,2, Kim DK3.
Lifespan-extending and stress resistance properties of brazilin from Caesalpinia sappan in Caenorhabditis elegans. Arch Pharm Res.2017 Jun 30.

2. Jung Y, Kim I. Total synthesis of brazilin. J Org Chem. 2015; 80(3):2001-5.

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